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クルド人問題 みんなの意見をコメント欄に書いてって! 7u002F16 ヘイトに歯止めがきかない―ネット、選挙、日常生活にあふれ出した外国人差別 なぜそこまで嫌われ、攻撃されるのか。なぜ止められないのか。どれくらいの日本人が悪感情を持っているのか―。埼玉県南部の川口市、蕨市に多く暮らすクルド人たちは、おびえきっている。歯止めのきかない憎悪は、ネットだけでなく日常生活に、選挙にもあふれ出した。 6月15日午前、JR蕨駅近くのビルの一室に、在日クルド人や、支援する市民たちが集まってきた。毎週日曜に市民団体「在日クルド人と共に」が開いている日本語教室だ。和気あいあいとした集まりだが、団体の代表、温井立央さんの顔は晴れない。  「正直、きりがない。気にしないように振る舞っていても少しずつ心にダメージがたまります」  きりがないとは、激しさを増すヘイトスピーチ、ヘイトクライムのことだ。団体ホームページには頻繁に「さっさと国へ帰れ」などのメールが送りつけられる。ここ2年でヘイトメールは187件に及ぶという。  「くるどじンキらい。ころスアるよ」という脅迫の手紙まで届いた。クルド人を誹謗中傷したり、スタッフを怒鳴りつける電話もかかってくる。差別が日常風景になりつつある。食い止める方法はないのか。 「ヘイトスピーチが当たり前のようにSNSに流れ、放置されている。人権が軽く扱われているように感じます」 温井さんは話す。6月、東京の大学に呼ばれて学生に川口の現状を講演した時のことだ。学生たちの感想文には、講演前まで持っていたイメージがこう書かれていた。「SNSを見てクルド人には悪い印象しかなかった」「クルド人のせいで川口の治安が悪くなったという話を聞いた」  温井さんは、川口・蕨を訪れたこともない学生たちが、そんなイメージを持っていたことに驚いた。「一番の問題は、差別がネットを通じて薄く広範囲に広がっていることです」  ▽学校で「くさい」と言われ  温井さんの団体の日本語教室に、クルド人男性、ヤマンさん(44)=仮名=がいた。2022年の「在日クルド人と共に」設立当初から通っている。今年、日本語検定の中で2番目に難しい「N2」を受験予定で、毎日猛勉強中だ。  「SNSでクルド人に対するひどい差別があるのは知っているけれど、けんかになるから見ないし、相手にしない。家族のためにもならないし」 日本に来たのは約20年前。故郷であるトルコ南東部の村はトルコ警察の監視下に置かれ、安全を求めた。夢は解体会社を経営すること。子ども2人は日本で育ち、将来は国際貢献する仕事についてほしいと考えている。  昨年、小学生の娘が同級生から「くさい」と言われ、毎朝シャワーを浴びてから学校に行くようになった。ヤマンさんは学校に訴え、教師が発言をした児童と話し合った。今は元気に学校に通っている。  ヤマンさんは訴えた。「クルド人はテロリストだとか悪いやつだとか言うけれども、本当にそうなのか。耳で聞いた情報だけで判断しないでほしい」  教室終了後、ボランティアとして初めて参加した男子大学生は、こう語った。  「SNSではクルド人が怖い、犯罪が多いと書かれていたが、実際に会って話すと違うと感じた。また来たいです」